ふるさと納税の仕組みと手続き

ふるさと納税で2,000円を超える分が控除される仕組み、総務省の上限の目安表とその前提、確定申告とワンストップ特例の条件、2025年10月からのポイント付与禁止を公式資料で説明します。

出典(元データ)

最終確認日: 2026年10月21日

ふるさと納税は、選んだ自治体に寄附をすると、寄附額から2,000円を引いた分が所得税と住民税から差し引かれる制度です。ただし差し引かれる額には上限があります。この記事では、総務省のふるさと納税ポータルの説明をもとに、仕組み・上限の目安・手続きの選び方を順に説明します。

ふるさと納税の仕組み

総務省は、ふるさと納税を次のように説明しています。

自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限はあります。)

総務省のページにある例では、年収700万円の給与所得者で扶養家族が配偶者のみの人が30,000円を寄附すると、2,000円を超える28,000円が所得税と住民税から控除されます。

税の計算は1月〜12月の年単位です。12月31日までの寄附は、その年の分として扱われます。

控除は3つに分かれる

寄附額から2,000円を引いた残りは、次の3つに分かれて税金から差し引かれます(総務省「税金の控除について」)。

控除の種類計算式いつの税金から
(1) 所得税からの控除(寄附額 − 2,000円)× 所得税の税率寄附した年の所得税
(2) 住民税からの控除(基本分)(寄附額 − 2,000円)× 10%翌年度の住民税
(3) 住民税からの控除(特例分)(寄附額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税の税率)翌年度の住民税

所得税の税率は、その人の課税所得に応じた税率です。令和19年中の寄附までは、復興特別所得税の税率を加えた率で計算します。

(1)〜(3)を足すと、ちょうど「寄附額 − 2,000円」になります。だから自己負担が2,000円で済む、という仕組みです。

上限はどこで決まるか

上限にかかわるのは、主に(3)の特例分です。特例分は住民税所得割額の2割までです。(3)の式で計算した特例分が所得割額の2割を超えると、特例分は「住民税所得割額 × 20%」で頭打ちになります。

この場合、3つの控除を合計しても「寄附額 − 2,000円」の全額は控除されません。総務省は「実質負担額は2,000円を超えます」と説明しています。上限を超えて寄附した分も、(1)の所得税の控除と(2)の住民税の基本分は受けられます。ただし(3)の特例分は増えないので、超えた分のうち「所得税の税率+10%」を除いた残りは自己負担になります。

このほか、(1)の所得税の控除の対象になる寄附額は総所得金額等の40%まで、(2)の住民税(基本分)の対象は総所得金額等の30%までです。

全額控除される寄附額の目安

総務省は、給与収入と家族構成ごとに、全額(2,000円を除く)が控除される寄附額の目安を表にしています。下の表は、その表から一部の行と列を写したものです。

本人の給与収入独身又は共働き夫婦夫婦+子1人(高校生)夫婦+子2人(大学生と高校生)
300万円28,000円19,000円11,000円−
400万円42,000円33,000円25,000円12,000円
500万円61,000円49,000円40,000円28,000円
600万円77,000円69,000円60,000円43,000円
700万円108,000円86,000円78,000円66,000円
800万円129,000円120,000円110,000円85,000円
1,000万円180,000円171,000円157,000円144,000円

出典: 総務省「全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」(※2,000円を除く)。列名の「夫婦」は配偶者に収入がない場合、「共働き」は配偶者の給与収入が201万円超の場合です(詳しくは下の前提)。元の表には「共働き+子1人(高校生)」などの列と、300万円〜2,500万円の行があります。

表の前提

総務省の表には、次の前提が書かれています。自分の状況と違う場合は、表の額とずれます。

  • 給与収入だけで、住宅ローン控除などを受けていない人の目安です。年金収入だけの人や事業をしている人は、表とは異なります。
  • 社会保険料控除の額を、給与収入の15%と仮定しています。
  • 「共働き」は、寄附をした本人が配偶者控除・配偶者特別控除を受けていない場合(配偶者の給与収入が201万円超の場合)です。
  • 「夫婦」は総務省の表の用語で、寄附をした本人の配偶者に収入がない場合を指します。
  • 「高校生」は16歳から18歳の扶養親族、「大学生」は19歳から22歳の特定扶養親族です。
  • 中学生以下の子どもは控除額に影響しないため、計算に入れる必要はありません。
  • 令和2年以降に行うふるさと納税についての目安です。

表はあくまで目安です。総務省は、具体的な計算は寄附の翌年1月1日時点で住んでいる市区町村に尋ねるよう案内しています。

また、令和7年度の税制改正で、所得税の基礎控除と給与所得控除の見直しや、特定親族特別控除の創設が行われました(国税庁)。総務省の表は「令和2年以降」の目安として作られたもので、令和7年分からのこれらの改正を織り込んだ新しい表は、総務省のサイトには見当たりません(2026年10月時点)。上限ぎりぎりまで寄附する場合は、源泉徴収票の数字をもとに、お住まいの市区町村などで確かめると安心です。

手続きは2通り

控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。確定申告をしなくてよい給与所得者などは、「ワンストップ特例制度」も使えます。

確定申告

寄附をした翌年の3月15日までに、住所地の税務署へ確定申告をします。自治体から届く寄附金の受領証明書(受領書)をもとに申告します。

次のような人は、ワンストップ特例ではなく確定申告で控除を受けます。

  • 寄附先が6自治体以上の人
  • ふるさと納税と関係なく、もともと確定申告をする人

確定申告の場合、所得税からの控除(還付)と、翌年度の住民税からの控除に分かれます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作れます。副業がある場合の確定申告は副業がある会社員の確定申告と住民税の申告で説明しています。

ワンストップ特例制度

確定申告をしなくても控除を受けられる仕組みです。総務省の説明では、使える条件は次のとおりです。

  • 確定申告の不要な給与所得者等であること
  • ふるさと納税先の自治体が5団体以内であること
  • 寄附のたびに、各自治体へ特例の申請書を出すこと

ワンストップ特例を使うと、所得税からの控除はありません。その代わり、寄附した翌年の6月以降に払う住民税が減ります。所得税で控除されるはずだった分も、住民税から差し引かれます(豊島区の案内では「申告特例控除額」と呼んでいます)。

ワンストップ特例の注意点

申請書を出す時期: 法律(地方税法附則第7条)では、特例の申請は寄附をする際に行うことになっています。寄附先の自治体は、寄附の翌年1月31日までに、住所地の市区町村へ通知を送ります。そのため多くの自治体は申請書の締切を設けていて、たとえば豊島区の案内では「寄附をした翌年の1月10日(必着)」です。締切は寄附先の自治体の案内で確かめてください。

住所などが変わったとき: 申請後に引っ越しなどで住所や氏名が変わったときは、寄附した翌年の1月10日までに、寄附先の自治体へ変更届出書を出します。こちらは法律で決まっている期限です(地方税法附則第7条、総務省)。

豊島区の案内には、ほかに次の注意も書かれています。

  • ワンストップ特例を申請した人が確定申告や住民税の申告をすると、特例の申請はなかったものとして扱われます。たとえば医療費控除のために確定申告をするなら、ふるさと納税の寄附金控除もその確定申告に入れる必要があります(医療費控除は医療費控除の計算と対象で説明しています)。
  • 申請した自治体が年間5団体を超えると、ワンストップ特例は無効になります。

返礼品とポータルサイトのルール

返礼品は寄附額の3割以下・地場産品

総務省の基準で、返礼品は返礼割合3割以下、地場産品とすることになっています。

返礼品を受け取ると、その価値は一時所得にあたります(総務省「よくある質問」)。

2025年10月からポイント付与つきの募集は禁止

総務省は2024年6月28日に、ふるさと納税の指定基準の見直しを発表しました。その中で、「寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止すること」とし、2025年10月1日から適用しています。

つまり2025年10月1日からは、自治体が、寄附にポイントなどを付ける事業者を通じて寄附を募ることはできません。それより前の「仲介サイトのポイントで実質負担が減る」といった説明は、今の寄附には当てはまりません。

寄附する前の確認リスト

  1. 源泉徴収票などで自分の給与収入を確認する
  2. 総務省の目安表で、自分に近い家族構成の行を見る(前提が違う人は少なめに見積もる)
  3. 住宅ローン控除や医療費控除を受ける人は、表より上限が変わる可能性があると考える
  4. 寄附先が5自治体以内で、確定申告をしないならワンストップ特例。申請書は寄附するときに出し、締切は寄附先の案内で確かめる(豊島区は翌年1月10日必着)
  5. 確定申告をするなら、すべての寄附を申告に入れる

まとめ

  • 寄附額から2,000円を引いた分が、所得税と住民税から差し引かれます。差し引かれる額には上限があります。
  • 上限の目安は総務省の表で確かめられます。ただし表は給与収入だけ・住宅ローン控除なしなどの前提つきの目安です。
  • 確定申告をしない給与所得者で寄附先が5自治体以内なら、ワンストップ特例が使えます。申請書は寄附するときに出すのが原則で、締切は寄附先の自治体の案内で確かめます。
  • 2025年10月1日から、ポイントを付与する事業者を通じた募集は禁止されています。

よくある質問

上限を超えて寄附するとどうなりますか?
住民税の特例分は住民税所得割額の2割が上限です。上限を超えた分も所得税の控除と住民税の基本分(所得税の税率+10%の分)は受けられますが、特例分は増えないため、残りは自己負担になります。そのため実質の負担は2,000円を超えます(総務省「税金の控除について」)。
ワンストップ特例の申請書はいつまでに出せばよいですか?
法律(地方税法附則第7条)では、特例の申請は寄附をする際に行います。寄附先は翌年1月31日までに住所地の市区町村へ通知するため、多くの自治体が締切を設けています(例: 豊島区は寄附の翌年1月10日必着)。締切は寄附先の自治体の案内で確かめてください。申請後に住所などが変わったときは、翌年1月10日までに変更届出書を出します。
ワンストップ特例を申請したあとで、医療費控除のために確定申告をしてもいいですか?
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請はなかったものとして扱われます(豊島区の案内)。そのため、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告に入れて申告します。
総務省の目安表の額まで寄附すれば必ず2,000円の負担で済みますか?
目安表は、給与収入のみ・住宅ローン控除等を受けていない・社会保険料を給与収入の15%と仮定するなどの前提で作られた目安です。総務省は、具体的な計算は寄附の翌年1月1日時点の住所地の市区町村に尋ねるよう案内しています。
仲介サイトのポイントはもらえますか?
総務省は、寄附に伴いポイント等を付与する者を通じた募集を禁止しており、2025年10月1日から適用しています。

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