副業がある会社員の確定申告と住民税の申告

副業がある会社員が確定申告をするかの判断基準を国税庁の資料で整理。「20万円以下」の正しい意味、住民税の申告、副業分の住民税の納め方、無申告加算税、令和7・8年分の基礎控除の改正まで。

出典(元データ)

最終確認日: 2026年10月21日

会社に勤めながら副業をしている人が、確定申告をするかどうかを決めるときに見るポイントをまとめます。制度は2026年10月時点の国税庁・自治体の案内にもとづきます。

結論: 3つを分けて考える

副業の申告は、次の3つを分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 所得税の確定申告が必要か(国税・税務署)
  2. 所得税の申告をしない場合に、住民税の申告が必要か(市区町村)
  3. 申告するなら、副業分の住民税を給与天引きにするか、自分で納めるか

所得税: 「20万円以下なら申告不要」の正しい意味

国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」によると、給与を1か所から受け取っていて、その全部が源泉徴収の対象になっている人は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。

ここで大事なのは、20万円が「売上」ではなく「所得」だという点です。副業の所得が雑所得に当たる場合は、国税庁の「No.1500 雑所得」で次のように計算します。

総収入金額 − 必要経費 = 業務に係る雑所得

20万円の基準が当てはまらない人

次の人は、副業の所得が20万円以下かどうかとは別に、申告が必要になることがあります(No.1900)。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 給与を2か所以上から受け取っている人(副業がアルバイトなどの給与の場合)。この場合は、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与・退職以外の所得の合計が20万円を超えるかで判断します。ただし、給与の収入金額の合計から一部の所得控除を引いた額が150万円以下で、給与・退職以外の所得が20万円以下なら申告は不要です。

還付申告をするときは、20万円以下の所得も書く

「20万円以下なら申告不要」は、申告をしなくてよい場合の決まりです。国税庁は No.1900 の Q&A で、医療費控除などで還付申告をする場合は、20万円以下の副業の所得もあわせて申告する必要があるとしています。医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)で申告するときは、副業の所得も忘れずに入れます。医療費控除については「医療費控除の計算と対象、家族分のまとめ方」にまとめています。

住民税: 所得税の申告をしないなら、市区町村への申告が必要

所得税の「20万円以下」の決まりは、住民税にはありません。

  • 横浜市は、所得税の確定申告をした場合は住民税の申告をしたものとみなされ不要、確定申告をしなかった場合は住民税の申告が必要と案内しています。住民税は所得の多少にかかわらず、給与所得と合算して計算するためです。
  • 神戸市も、副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合、住民税(市県民税)の申告は必要と案内しています。

つまり、副業の所得が20万円以下でも、何も申告しなくてよいわけではありません。所得税の確定申告をするか、住んでいる市区町村に住民税の申告をするか、どちらかが必要です。

副業分の住民税を「自分で納付」にするには

確定申告書を期限内に出し、第二表の「住民税・事業税に関する事項」にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」を選びます(水戸市・文京区の案内)。

  • 選べるのは、副業が事業所得や業務に係る雑所得(原稿料・報酬など)のように、給与所得以外の場合です。
  • 水戸市は、副業が給与(アルバイトなど)の場合、副業分だけを納付書で納めることはできないと案内しています。給与はすべて合算され、主な勤務先の給与から天引きされます。
  • 文京区は、「自分で納付」を選んでも、申告の内容によっては特別徴収(給与天引き)になる場合があること、変わるのは納め方だけで税額は変わらないことを案内しています。

申告の期間

国税庁の「No.2020 確定申告」によると、確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日までで、申告と納付の期限は原則として翌年3月15日です。

税金が戻るだけの還付申告は、国税庁の「No.2030 還付申告」によると、確定申告期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間提出できます。

申告を忘れたとき: 無申告加算税

期限までに申告しなかった場合は「期限後申告」になり、税金のほかに無申告加算税がかかります。国税庁の「No.2024 確定申告を忘れたとき」による割合は次のとおりです。令和6年1月1日以後に申告期限が来るもの(令和5年分以降)について、納付すべき税金が300万円を超える部分の割合が引き上げられています。

申告したタイミング50万円までの部分50万円超300万円までの部分300万円超の部分
税務署から調査の事前通知が来る前に、自主的に申告5%5%5%
事前通知の後、調査の前に申告10%15%25%
調査の後に申告、または税務署が決定15%20%30%

例として、納付すべき税金が400万円のときの無申告加算税を計算すると、自主的に申告した場合は20万円、事前通知の後なら67万5,000円、調査の後なら87万5,000円です(延滞税は別。割合は上の表のとおり)。

このほか、No.2024 には次のことも書かれています。

  • 前年・前々年にも無申告加算税がかかっている場合や、調査で帳簿を出さなかった場合などは、さらに上乗せされることがあります。
  • 期限から1か月以内に自主的に申告し、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合(税金を法定納期限までに全額納めているなど)は、無申告加算税はかかりません。
  • 期限後申告で納める税金は、申告書を出した日が納期限になり、延滞税もあわせて納めます。

気づいた時点で、早めに申告するのがいちばん負担が小さくなります。

令和7年分・令和8年分の基礎控除の改正

所得税の基礎控除は、令和7年分と令和8年分で続けて変わりました。国税庁の「No.1199 基礎控除」による、本人の合計所得金額ごとの控除額は次のとおりです(2,350万円超の区分は省略)。

合計所得金額令和7年分令和8年分・令和9年分
132万円以下95万円104万円
132万円超336万円以下88万円104万円
336万円超489万円以下68万円104万円
489万円超655万円以下63万円67万円
655万円超2,350万円以下58万円62万円
  • 令和8年分の金額は、本則の62万円に、合計所得金額489万円以下なら42万円、489万円超655万円以下なら5万円を加える特例(令和8年分・令和9年分)を合わせたものです(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。
  • 国税庁の改正 Q&A によると、この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます。会社員は、令和8年12月の年末調整で改正後の金額により精算されます。給与所得控除の最低保障額も、令和8年分・令和9年分は65万円から74万円に上がりました(本則の69万円に、令和8年・令和9年だけの特例の5万円を加えた額。財務省の大綱)。
  • 住民税(市民税・県民税)の基礎控除は改正されていません(千葉市の案内)。

なお、副業の「20万円」の基準そのものは、基礎控除の改正で変わったわけではありません(No.1900 の記載は令和8年4月1日現在の法令で20万円のままです)。

まとめ

  • 所得税は、給与1か所の会社員なら副業の所得(収入−経費)が20万円を超えると確定申告が必要です。
  • 20万円以下でも、所得税の申告をしないなら住民税の申告が必要です。還付申告をするなら副業分も書きます。
  • 期限後の申告には無申告加算税がかかり、令和5年分以降は300万円超の部分が最大30%です。
  • 令和8年分の基礎控除は、合計所得489万円以下で104万円になります。

転職や退職をした年の手続きは「転職・退職したときの住民税と所得税の手続き」をご覧ください。

よくある質問

副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくてよいですか?
所得税の確定申告は不要な場合がありますが、住民税の申告は別です。横浜市や神戸市は、所得税の確定申告をしない場合は住民税の申告が必要と案内しています。所得税の確定申告をすれば、住民税の申告をしたものとみなされます。
20万円は売上ですか、利益ですか?
所得(利益)です。副業が雑所得に当たる場合は「総収入金額−必要経費」で計算します(国税庁 No.1500)。給与を2か所以上から受け取っている場合は、年末調整されなかった給与の収入金額で判断するなど、別の基準になります(No.1900)。
医療費控除で申告するとき、20万円以下の副業の所得も書きますか?
書きます。国税庁は、20万円以下の決まりは申告を要しない場合の規定であり、医療費控除などの還付申告をする場合は、20万円以下の所得もあわせて申告する必要があるとしています(No.1900 の Q&A)。
確定申告を忘れるとどうなりますか?
期限後申告となり、無申告加算税と延滞税がかかります。自主的に申告すれば5%、調査の後なら50万円までが15%、50万円超300万円までが20%、300万円超が30%です(令和6年1月1日以後に申告期限が来るもの。国税庁 No.2024)。
副業分の住民税を会社の給与天引きにしない方法はありますか?
副業が事業所得や業務に係る雑所得なら、確定申告書を期限内に出し、第二表の住民税の徴収方法で「自分で納付」を選べます。副業が給与の場合は、副業分だけを納付書で納めることはできません(水戸市の案内)。申告の内容によっては給与天引きになる場合があります(文京区の案内)。

あわせて使える計算

ほかのコラム

一覧 →