投資信託の選び方とコストの見方

投資信託を選ぶときに見る点を、金融庁の資料で整理します。購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額の違い、信託報酬の差が30年で生む差の計算(前提つき)、NISAで買える投資信託の条件を説明します。

出典(元データ)

最終確認日: 2026年10月21日

投資信託は数が多く、どれを選べばよいか迷いやすい商品です。この記事では、特定の商品を勧めるのではなく、選ぶときに何を見ればよいかを、金融庁の資料にもとづいて整理します。信託報酬の差が長い期間でどれだけ効くかは、前提を書いたうえで計算します。

まず「何に投資するか」を決める

投資信託は、集めたお金を株式や債券などに投資する商品です。選ぶ順番は、次のとおりです。

  1. 何に投資するか(国内か海外か、株式か債券か、その組み合わせか)
  2. どう運用するか(インデックス型かアクティブ型か)
  3. コストはいくらか(購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額)
  4. NISAで買えるか

何に投資するかで、値動きの大きさが変わります。投資信託は元本が保証されず、値下がりすることもあります。いつ使うお金か、どれくらいの値下がりなら持ち続けられるかを先に考えておきます。

インデックス型とアクティブ型

金融庁の説明では、投資信託は次の2つに分けられます。

  • インデックス型(パッシブ型): 株式や債券などの指数(平均値に近いもの)と同じ動きを目指します。
  • アクティブ型: 指数を上回ることを目指します。

アクティブ型は指数を上回ることを目指しますが、上回るとは限りません。どちらを選ぶ場合も、次に説明するコストを必ず確かめます。

投資信託にかかる3つのコスト

金融庁は、投資信託のコストを、かかる時期ごとに3つに分けて説明しています。

かかる時期名前内容
買うとき購入時手数料(販売手数料)購入金額の1〜3%程度の場合が多い。0円(ノーロード)の商品もある
持っている間信託報酬(運用管理費用)保有している期間中に自動的に引かれる
売るとき信託財産留保額売却にかかる内部コストを、残る投資家に負担させないためのもの

このうち、長く持つほど影響が大きくなるのが信託報酬です。保有している間、自動的に引かれていくので、払っていることに気づきにくいコストです。

信託報酬の差は、長い期間でどれだけ効くか

信託報酬の違いが30年後の金額をどれだけ変えるかを、次の前提で計算しました。

  • 信託報酬を引く前の運用利回りは年5%で、毎年同じとする(実際の値動きは毎年違います)
  • 信託報酬を引いた後の利回りは「5% − 信託報酬率」とする
  • 一括投資は年1回の複利、毎月の積立は月末に積み立てて月複利で計算する
  • 税金はかからない(NISA口座を想定)。購入時手数料と信託財産留保額は0円とする
  • 実際の信託報酬は日々差し引かれるので、結果は少しずれる

1,000万円を一括で投資し、30年持った場合

信託報酬(年率)30年後の金額0.1%との差
0.1%約4,200万円―
0.5%約3,745万円約455万円少ない
1.0%約3,243万円約957万円少ない
2.0%約2,427万円約1,773万円少ない

毎月3万円を30年積み立てた場合(積み立てた元本は1,080万円)

信託報酬(年率)30年後の金額0.1%との差
0.1%約2,451万円―
0.5%約2,278万円約173万円少ない
1.0%約2,082万円約369万円少ない
2.0%約1,748万円約703万円少ない

信託報酬が年1%違うと、一括投資で30年後の金額は約25%少なくなります(信託報酬を引いた後の利回りが4.5%と3.5%の場合で比べると、3.5%の方の結果は4.5%の方の74.9%)。

同じものに投資する商品なら、信託報酬が低い方が手元に残る金額は多くなります。ただし、投資先が違う商品どうしを信託報酬だけで比べることはできません。

NISAとiDeCoのどちらで買うかは「新NISAとiDeCoの違いと使い分け方」で比べています。自分の金額や年数で試したいときは、複利計算やNISA積立シミュレーターを使えます。

信託報酬はどこで確かめるか

信託報酬の料率は、運用会社の公式ページや目論見書に載っています。見るときの注意は次のとおりです。

  • いつ時点の料率かを見る: 運用会社のページでは、料率が「〇年〇月時点」のように時点つきで示されています。ブログや古い記事の数字ではなく、公式ページの最新の料率と時点を確かめます。
  • 税込か税抜か: 表示によって税込と税抜があります。比べるときはそろえます。
  • 「以内」と書かれていることがある: 上限の料率として表示されている場合があります。
  • 信託報酬以外の費用: 信託報酬とは別にかかる費用もあります。運用会社の資料で確かめます。

NISAで買える投資信託の条件

NISAで買える投資信託には条件があります。金融庁の資料(2024年6月)によると、つみたて投資枠の対象商品は次のような条件を満たすものです。これは2026年10月時点の要件です。2027年から見直される予定があるので、買う前に金融庁の対象商品一覧で確かめてください。

  • 信託契約期間が無期限、または20年以上
  • 毎月分配型でない
  • 販売手数料は0%(ノーロード)
  • 信託報酬は低い水準(下の表)
種類信託報酬(税抜)の上限
指定インデックス投資信託(国内資産が対象)0.5%以下
指定インデックス投資信託(海外資産が対象)0.75%以下
それ以外の投資信託(国内資産が対象)1%以下
それ以外の投資信託(海外資産が対象)1.5%以下

指定インデックス投資信託以外の投資信託は、信託報酬のほかに、純資産額50億円以上、信託開始から5年以上、信託期間の3分の2で資金が流入超過、といった条件も満たす必要があります。

成長投資枠では、次のような投資信託が対象外です。

  • 信託期間が20年未満のもの
  • ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を使うもの
  • 毎月分配型のもの

つみたて投資枠の対象商品は、金融庁のNISA特設サイトに一覧があります。ただし、条件を満たしていることは「よい商品」という意味ではありません。上限に近い商品と、それより低い商品とでは、上の表のとおり長い期間で差が出ます。

選ぶときのチェックリスト

  1. 何に投資する商品か(指数の名前や投資対象の地域・資産)を説明できる
  2. その投資先の値下がりに耐えられる
  3. 購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額を、運用会社の公式ページで確かめた(料率と基準日)
  4. 同じものに投資するほかの商品と、信託報酬を比べた
  5. NISAで買う場合、つみたて投資枠・成長投資枠の対象かを確かめた
  6. 分配金の頻度(毎月分配型かどうか)を確かめた

まとめ

  • まず何に投資するかを決め、そのうえでコストを比べます。
  • 信託報酬は持っている間ずっとかかります。年5%の前提で1,000万円を30年持つと、0.1%と1.0%で約957万円の差になります。
  • 信託報酬の料率は変わることがあるので、運用会社の公式ページで基準日と一緒に確かめます。

よくある質問

信託報酬とは何ですか?
投資信託を持っている間にかかる費用で、運用管理費用とも呼ばれます。金融庁の説明では、保有している期間中に自動的に引かれていくものです。
NISAのつみたて投資枠で買える投資信託の条件は?
金融庁の資料では、信託契約期間が無期限または20年以上、毎月分配型でない、販売手数料0%(ノーロード)などの条件があります。信託報酬(税抜)の上限は、指定インデックス投資信託で国内資産0.5%以下・海外資産0.75%以下などと決められています。 2026年10月時点の要件で、2027年から見直される予定があります。
毎月分配型の投資信託はNISAで買えますか?
金融庁の資料では、毎月分配型はつみたて投資枠の対象外で、成長投資枠でも対象外とされています。
信託報酬が1%違うと、どれくらい差が出ますか?
信託報酬を引く前の利回りを年5%(毎年一定)、税金なしとして計算すると、1,000万円を30年持った場合、信託報酬0.1%で約4,200万円、1.0%で約3,243万円となり、約957万円の差です。実際の値動きは毎年違うので目安です。

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