新NISAとiDeCoの違いと使い分け方

新NISAとiDeCoの違いを、金融庁・厚生労働省の資料で整理。NISAの年間枠と生涯枠、iDeCoの掛金上限(2026年12月からの引き上げを含む)、受け取り年齢、税率別の節税額の目安を表で示します。

出典(元データ)

最終確認日: 2026年10月21日

新NISAとiDeCoは、どちらも運用益に税金がかからない制度です。大きな違いは2つあります。いつ引き出せるかと、掛金が所得控除になるかです。この記事では、2026年10月時点の制度を、金融庁と厚生労働省の資料にもとづいて比べます。2026年12月からのiDeCoの改正(決まっているもの)も書きます。

2つの制度の比較

項目新NISAiDeCo
使える人日本国内に住む18歳以上20歳以上65歳未満の公的年金の加入者(区分による)
1年の上限360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)加入者の区分で違う(月の上限は2万〜6.8万円。下の表)
生涯の上限1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)なし(毎月の上限だけ)
引き出し売却はいつでもできる原則60歳まで引き出せない
掛金の所得控除なし全額が所得控除
運用益非課税非課税
受け取るとき税金はかからない一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象

厚生労働省の比較資料も、2つを「目的に応じた使い分けを」と案内しています。どちらか一方しか使えないわけではありません。

新NISAの枠のしくみ

金融庁によると、2024年からのNISAの枠は次のとおりです。

  • 1年に使える枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。両方を使えば年360万円です。
  • 生涯で持てる上限(非課税保有限度額)は1,800万円です。このうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。
  • 非課税で持てる期間は無期限です。
  • 売却すると、売った商品の簿価(買ったときの金額)の分だけ枠が翌年以降に復活します。

注意点もあります。NISA口座で出た損失は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できません。損失を翌年以降に繰り越すこともできません。

2027年1月からの変更

金融庁のNISA特設サイトでは、2027年1月から、つみたて投資枠の年齢要件がなくなるとしています。0〜17歳の間は、年間投資枠が60万円、非課税保有限度額が600万円です。原則として払い出しはできず、12歳以降は一定の要件のもとで払い出せます。

iDeCoの掛金の上限

iDeCoの掛金は、月5,000円から1,000円単位で決められます。上限は、国民年金の区分と勤務先の企業年金によって違います。

現在(2024年12月から)

区分月の上限
第1号被保険者(自営業者・フリーランス・学生など)6.8万円(国民年金基金などと合計)
第2号被保険者で企業年金がない会社員など2.3万円
第2号被保険者で企業年金がある会社員・公務員2.0万円
第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者)2.3万円

企業年金がある人は、企業型DCの事業主掛金などと合わせて月5.5万円を超えることはできません。そのため2.0万円まで出せない人もいます。

2026年12月(2027年1月引き落とし分)から

上限が引き上げられることが決まっています(厚生労働省)。

区分月の上限
第1号加入者7.5万円(国民年金基金などと合計)
第2号加入者(会社員・公務員など)6.2万円(企業年金がある人は企業年金と合計)
国家公務員・地方公務員5.4万円(6.2万円から共済掛金相当額8,000円を引いた額)
第3号加入者2.3万円

掛金を増やしたい人は、掛金額の変更の手続きが必要です。厚生労働省のチラシでは、2026年12月分からの変更の受付は2026年9月頃からの予定とされていました。

加入できる年齢と受け取る年齢

iDeCoのお金は、原則60歳まで引き出せません。 ここがNISAとの一番大きな違いです。

  • 受け取り開始: 原則60歳から75歳までの間で選べます。ただし60歳から受け取るには、60歳までの加入期間など(通算加入者等期間)が10年以上必要です。短いと、受け取れる年齢が遅くなります。
  • 加入できる年齢(現在): 20歳以上65歳未満の公的年金の加入者です。第1号・第3号被保険者は60歳未満です。
  • 2026年12月から: 一定の要件を満たせば、60歳以上70歳未満の人も加入できるようになります。要件は、iDeCoの加入者・運用指図者だった人などで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないことです。2029年11月末までは、この要件に当たらない60歳以上70歳未満の人も新しく加入できます(老齢基礎年金を受け取っている人など、一部の人は除きます)。

iDeCoで税金はいくら減るか

iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。所得税と住民税の両方が減ります。

減る税金の目安は、次の式で計算できます。

年間の掛金 ×(所得税率 × 1.021 + 住民税10%)

「1.021」は、所得税に2.1%上乗せされる復興特別所得税の分です。2027年以後は、復興特別所得税の率が下がり、防衛特別所得税が新しくできます。ただし国税庁によると、2つを合わせた税率は変わりません。住民税(所得割)の税率は10%です。

前提と計算結果

次の表は、上の式で計算した1年分の目安です。掛金を差し引いても所得税率の区分が変わらないと仮定しています。実際の税額は端数の切り捨てなどで少しずれます。

掛金(月)所得税率5%10%20%23%
1万円18,126円24,252円36,504円40,180円
2万円36,252円48,504円73,008円80,359円
2.3万円41,690円55,780円83,959円92,413円
6.2万円112,381円150,362円226,325円249,114円

たとえば、所得税率10%の人が月2万円(年24万円)を出すと、所得税と復興特別所得税で24,504円、住民税で24,000円、合わせて年48,504円の目安です。税率と掛金が30年間変わらなければ、合計は1,455,120円です。

所得税率は、収入ではなく「課税される所得金額」で決まります(令和8年分の速算表)。

課税される所得金額税率
1,000円〜1,949,000円5%
1,950,000円〜3,299,000円10%
3,300,000円〜6,949,000円20%
6,950,000円〜8,999,000円23%

計算するときの注意

  • 所得税・住民税がかかっていない人は、控除で減る税金がありません。たとえば収入がない第3号被保険者の人は、掛金を出しても税金は減りません。
  • 受け取るときは課税の対象です。一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象になります。掛金のときに減った税金が、そのまま全部得になるとは限りません。
  • iDeCoには手数料があります(加入時と、掛金を納めるたび)。詳しくは「iDeCoの始め方と手数料・手続きの流れ」で説明しています。

どちらを使うか決めるときの考え方

厚生労働省の比較資料は、iDeCoを老後の資産形成に、NISAをライフプランに柔軟に対応するものとして、目的に応じた使い分けを案内しています。金融庁の解説記事(つみたてNISAの時期のもの)でも、両制度の違いを理解したうえで各自が判断する必要がある、としています。

判断の材料は、次の3つです。

  1. そのお金を使う時期: 60歳より前に使う可能性があるお金は、引き出せないiDeCoには向きません。
  2. 所得税率: 税率が高いほど、iDeCoで減る税金は大きくなります。税金がかかっていない人には、この利点がありません。
  3. 出せる金額: iDeCoは区分ごとの月の上限があり、NISAは年360万円・生涯1,800万円の枠があります。

NISAやiDeCoで買う投資信託の選び方は「投資信託の選び方とコストの見方」にまとめています。積み立てた場合に将来いくらになるかは、NISA積立シミュレーターや複利計算で試せます。老後に必要な金額は老後資金の計算で確かめられます。

まとめ

  • NISAはいつでも売却でき、年360万円・生涯1,800万円まで非課税で持てます。
  • iDeCoは掛金が全額所得控除になりますが、原則60歳まで引き出せません。
  • iDeCoの上限は、2026年12月(2027年1月引き落とし分)から、会社員などで月6.2万円、自営業者などで月7.5万円に上がります。

よくある質問

新NISAとiDeCoは両方使えますか?
使えます。厚生労働省の比較資料は、iDeCoとNISAを目的に応じて使い分けるよう案内しています。
iDeCoの掛金の上限は2027年からいくらになりますか?
2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から、第2号加入者(会社員など)は月6.2万円(企業年金がある人は企業年金と合計)、第1号加入者(自営業者など)は月7.5万円(国民年金基金などと合計)、国家公務員・地方公務員は月5.4万円になります。第3号加入者は月2.3万円のままです。
iDeCoはいつから受け取れますか?
原則60歳から75歳までの間で受け取り時期を選べます。60歳から受け取るには、60歳までの通算加入者等期間が10年以上必要です。
NISAで損失が出たら、ほかの口座の利益と相殺できますか?
できません。NISA口座の損益は、一般口座や特定口座と損益通算できず、損失を翌年以降に繰り越すこともできません。

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