手取りの計算方法と給与明細の読み方(2026年)

額面から手取りを出す計算を、令和8年分の所得税(基礎控除・給与所得控除の改正)と令和8年度の社会保険料率で説明します。子ども・子育て支援金や年収別の手取りの表も載せます。

出典(元データ)

最終確認日: 2026年10月21日

給与の額面から手取りを出すには、社会保険料、所得税、住民税の3つを引きます。この記事では、2026年(令和8年分)のルールと、令和8年度の保険料率で、それぞれの計算のしかたを順に説明します。最後に、前提をそろえて計算した年収別の手取りの表を載せます。

給与から引かれるもの

給与明細の「控除」の欄に並ぶのは、おおむね次の項目です。

項目何の基準で決まるか
健康保険料(子ども・子育て支援金を含む)標準報酬月額 × 料率 ÷ 2
介護保険料(40〜64歳)標準報酬月額 × 料率 ÷ 2
厚生年金保険料標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2
雇用保険料その月の賃金 × 本人負担の料率
所得税その年の所得(毎月は概算で引き、年末調整で精算)
住民税前年の所得

健康保険と厚生年金の保険料は、会社と本人が半分ずつ負担します。明細に載るのは本人の負担分です。

社会保険料の計算

標準報酬月額で計算する

健康保険と厚生年金は、実際の給与ではなく「標準報酬月額」に料率を掛けて計算します。標準報酬月額は、給与の額を区切った等級です。毎年4〜6月の報酬の平均で決め直され、その年の9月から翌年8月まで使われます。

厚生年金の標準報酬月額は、8万8千円から65万円までの32等級です。65万円が上限なので、月給がそれより高くても保険料は増えません。この上限は、2027年9月から68万円、2028年9月から71万円、2029年9月から75万円に段階的に引き上げられることが決まっています。

令和8年度の料率

保険料料率(会社と本人の合計)本人の負担
健康保険(協会けんぽ 東京支部)9.85%4.925%
子ども・子育て支援金0.23%0.115%
介護保険(40〜64歳)1.62%0.81%
厚生年金18.3%9.15%
雇用保険(一般の事業)1.35%0.5%

健康保険の料率は、加入先によって違います。協会けんぽは都道府県ごとに料率が決まっていて、令和8年度は東京都が9.85%、大阪府が10.13%、新潟県が9.21%などです。協会けんぽの令和8年度の平均保険料率は9.9%です。会社の健康保険組合に入っている人は、組合の料率を確認してください。協会けんぽの令和8年度の料率は、2026年3月分(4月納付分)から使われています。

子ども・子育て支援金は、2026年4月分(5月納付分)から健康保険料と合わせて徴収されています。協会けんぽの率は全国一律で0.23%です。

雇用保険料率は、2026年4月から2027年3月までの率です。一般の事業では本人負担が1,000分の5、会社負担が1,000分の8.5です。

月給30万円の例

協会けんぽ東京支部で、40歳未満、月給30万円(標準報酬月額30万円)の場合です。

項目本人負担(月額)
健康保険料(子ども・子育て支援金を含む)15,120円
厚生年金保険料27,450円
雇用保険料1,500円
合計44,070円

40歳以上なら、介護保険料が加わり、健康保険料の欄は17,550円(2,430円増)になります。

所得税の計算(令和8年分)

所得税は、次の順で計算します。

  1. 給与の収入 − 給与所得控除 = 給与所得
  2. 給与所得 − 所得控除(社会保険料控除、基礎控除など)= 課税所得
  3. 課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税
  4. 所得税 × 2.1% = 復興特別所得税(合わせて納める)

令和8年分の改正

令和8年分から、基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。改正は2026年12月1日に施行され、令和8年分の所得税に適用されます。

給与所得控除は、給与の収入が220万円までなら74万円です。それを超えると、収入に応じて次のように増えます。

給与の収入給与所得控除
220万円まで74万円
220万円超 360万円まで収入 × 30% + 8万円
360万円超 660万円まで収入 × 20% + 44万円
660万円超 850万円まで収入 × 10% + 110万円
850万円超195万円

基礎控除は、合計所得金額によって変わります(令和8年分・令和9年分)。

合計所得金額基礎控除
489万円以下104万円
489万円超 655万円以下67万円
655万円超 2,350万円以下62万円

給与だけの人なら、給与の収入が178万円(給与所得控除74万円 + 基礎控除104万円)までは所得税がかかりません。

毎月の給与から引かれる所得税は、改正前の税額表で計算されています。2026年12月の年末調整で、改正後の基礎控除などを使って1年分の税額を計算し直し、差額が精算されます。

累進課税は「課税所得」に段階的にかかる

所得税の税率は5%から45%までの7段階です。

課税所得税率控除額
195万円未満5%0円
195万円以上 330万円未満10%97,500円
330万円以上 695万円未満20%427,500円
695万円以上 900万円未満23%636,000円
900万円以上 1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円以上 4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

この表の区分は、年収ではなく課税所得です。たとえば、下の前提で年収500万円の人は、課税所得が179万6千円です。全額が5%の区分に入ります。

年収800万円の人は、課税所得が426万5千円です。このうち195万円までに5%、195万円から330万円までに10%、330万円を超える部分に20%がかかります。合計は42万5,500円で、速算表(426万5千円 × 20% − 42万7,500円)で計算した額と同じです。これに復興特別所得税(2.1%)を加え、100円未満を切り捨てた434,400円が、下の表の所得税です。

住民税の計算

住民税は、前年1年間の所得をもとに計算されます。税率は、所得割が10%(道府県民税4%、市町村民税6%)の標準税率です。これに均等割4,000円(標準税率)と、国税の森林環境税1,000円が加わります。

住民税の基礎控除は最高43万円で、所得税より低く設定されています。そのため、課税所得は所得税より高くなります。所得割からは調整控除(最低2,500円)が引かれます。

年収別の手取り

次の前提で計算しました。

  • 協会けんぽ東京支部、40歳未満(介護保険料なし)、扶養する家族なし
  • 賞与なし(年収を12か月で均等に割る)、一般の事業の雇用保険
  • 令和8年度の保険料率(子ども・子育て支援金を含む)を12か月分
  • 所得税は令和8年分、住民税は2026年の所得にかかる分(2027年度に納める分)。所得控除は社会保険料控除と基礎控除だけ
  • 住民税は標準税率(所得割10%、均等割4,000円、森林環境税1,000円)
年収社会保険料所得税住民税手取り手取りの割合
300万円457,728円26,600円115,700円約240.0万円80.0%
400万円598,956円57,200円175,600円約316.8万円79.2%
500万円723,144円91,600円243,100円約394.2万円78.8%
600万円881,400円149,300円307,300円約466.2万円77.7%
700万円1,039,656円276,100円375,500円約530.9万円75.8%
800万円1,164,960円434,400円453,000円約594.8万円74.3%
1,000万円1,265,688円822,200円637,900円約727.4万円72.7%

年収700万円の行で所得税が大きく増えるのは、合計所得金額が489万円を超えて基礎控除が104万円から67万円に下がるためです。年収800万円以上では、厚生年金の標準報酬月額が上限の65万円に達しています。

賞与がある人、40歳以上の人、扶養する家族がいる人、ほかの都道府県の人は、金額が変わります。住民税は自治体によって税率が違う場合もあります。

まとめ

  • 社会保険料は標準報酬月額に料率を掛けて決まります。料率は加入先と都道府県で違います。
  • 令和8年分の所得税は、基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、年末調整で精算されます。
  • 税率の区分は年収ではなく課税所得で見ます。

パートなどの社会保険の加入基準と扶養の基準は「社会保険料のしくみと年収の壁」、年末調整で使う控除は「年末調整の控除と申告書の書き方」で説明しています。

よくある質問

子ども・子育て支援金はいつから給与から引かれますか?
協会けんぽでは2026年4月分(5月納付分)から、健康保険料と合わせて徴収されています。率は全国一律で0.23%で、会社と本人が半分ずつ負担します。
年収500万円だと所得税の税率は20%ですか?
いいえ。税率の区分は年収ではなく課税所得で決まります。協会けんぽ東京支部・40歳未満・扶養なし・賞与なしの前提で計算すると、令和8年分の課税所得は179万6千円で、全額が5%の区分に入ります。
令和8年分の改正で、毎月の手取りはすぐ増えますか?
2026年中の毎月の源泉徴収は改正前の税額表で行われます。改正後の基礎控除などは2026年12月の年末調整で反映され、差額が精算されます。
給与がいくらまでなら所得税がかかりませんか?
令和8年分で給与だけの場合、給与の収入が178万円(給与所得控除74万円+基礎控除104万円)までは所得税がかかりません。住民税は基礎控除が最高43万円なので、所得税より低い収入からかかります。

あわせて使える計算

ほかのコラム

一覧 →